保定期間について

こんにちは。
そしがや矯正歯科の齋藤です。

 

 

今日は保定期間について少し書いてみようと思います。

 

矯正治療は動的治療期間と保定期間と大きく二つに分けられます。

 

動的治療期間というのは、
ブラケットなどの矯正装置を歯につけて、 実際に歯を移動させていく期間のことを指します。
矯正の「治療期間」に対する一般的なイメージは、 この動的治療期間のことです。

 

保定期間というのは、
この動的治療期間の後の期間で、
移動させた歯が後戻りしないためにとても大切な期間です。
この期間には、 後戻りを防ぐためにリテーナーとよばれる保定装置を使用し、
歯並びや、骨格の状態を経過観察するなど、 アフターチェックを行います。

 

なぜ保定装置が必要になるのかというと、
歯を移動した直後は、
歯の根っこの周りにある歯周組織は不安定な状態で、
そのままにしておくと、 歯は元に戻ろうとします。
ですので、新しい歯列で歯周組織が安定するまでの期間は、
歯が移動しないようにする保定装置が必要になります。

 

また、不正咬合の種類は様々で、
それぞれの原因も遺伝的なもの、指しゃぶりや舌癖などの日常的な習癖など様々です。
そのため歯列を治しても、
その原因となっている習癖が残っているかどうかのチェックも、 保定期間では重要です。

 

患者さんの状態によって保定期間に違いはありますが、
ブラケットによる矯正治療の後に、
後戻りを防ぐ期間があるということを覚えておいていただければと思います。

歯科疾患実態調査|オーバージェット、オーバーバイト

こんにちは。 そしがや矯正歯科の齋藤です。

 

 

前回の叢生(デコボコ、乱ぐい歯)と空隙(すきっ歯)に引き続き、 歯科疾患実態調査結果のご紹介です。
今回の調査は、 オーバージェットとオーバーバイトに関してのものになります。

 

オーバージェット、オーバーバイトというのは、あまり耳慣れないかもしれませんが、
前歯の咬み合わせの関係を評価する指標になります。

 

まずオーバージェットとは、
上顎の前歯と下顎の前歯の前後的な関係を表しています。
正常咬合といわれる咬み合わせの場合、
上顎の前歯が下顎の前歯より少し前に出ていますが、
上顎の前歯が前に出過ぎると、 上顎前突(出っ歯)といわれます。
大きく開きがありすぎると、お口を閉じづらくなり、矯正治療の必要性が出てきます。
また逆に、オーバージェットが小さくマイナスの値になる場合、
下顎の前歯が上顎の前歯より前に出て、 反対咬合といわれます。

 

オーバーバイトとは、
前歯の咬み合わせの深さを表すもので、
上顎の前歯が下顎の前歯に深く被さり過ぎる状態を過蓋咬合(ディープバイト)と呼びます。
中には下顎の前歯が全く見えなくなるほどの過蓋咬合もあります。
また逆に、前歯が全く接触しないというケースもあります。
これは開咬(オープンバイト)と呼び、 やはり食事にも発音にも支障が出てきます。

 

 

12歳から20歳までの永久歯列の方を調査対象とした、 平成17,23年度の調査結果は、
 

 

Q1. オーバージェットの状態

 

・平成17年度:0.5㎜未満:52名、0.5~3mm:108名、4mm以上:49名

・平成23年度:0.5㎜未満:32名、0.5~3mm:106名、4mm以上:71名

 

約半数の方が、オーバージェットが小さいもしくは大きい結果を示しています。

 

 

Q2. オーバーバイトの状態

 

・平成17年度:0.5㎜未満:28名、0.5~3mm:147名、4mm以上:68名

・平成23年度:0.5㎜未満:19名、0.5~3mm:135名、4mm以上:90名

 

約40~45%の方が、オーバーバイトが小さいもしくは大きい結果を示しています。

 

 

オーバージェットにしてもオーバーバイトにしても、
歯並びというよりも、咬み合わせに関する指標になります。
見た目に関係する部分でもありますが、
無理なくお口を閉じることや、 咀嚼などの機能に関わってくる部分でもあります。
一度ご自身の咬み合わせの状態を確認してみてはいかがでしょうか。

歯科疾患実態調査|叢生(デコボコ)と空隙歯列(すきっ歯)

こんにちは。 そしがや矯正歯科の齋藤です。

 

 

今日は厚生労働省が発表している歯科疾患実態調査をご紹介したいと思います。

 

厚生労働省は数年ごとに、
様々な歯科に関してのレポートを発表していて、とても参考になります。
今回ご紹介するレポートは叢生と空隙歯列に関してのものです。

 

叢生(そうせい)というのは、いわゆるデコボコの歯並びのことを指します。
本来きれいに並んでいる歯列から外に飛び出している、
あるいは奥に引っ込んでしまっている歯がある状態のことです。
乱ぐい歯と呼ばれることもありますし、
八重歯も叢生の一つとみなされています。

 

空隙(くうげき)歯列というのは、歯と歯の間に隙間がある状態のことを指します。
すきっ歯という呼び方の方が馴染みがあるかもしれません。

 

 

調査年度は平成11、17,23年度で、 調査対象は12歳から20歳までの永久歯列の方を対象としています。

 

Q1. 叢生の有無

 

・平成11年度:叢生なし:277名、叢生あり:241名

・平成17年度:叢生なし:148名、叢生あり:98名

・平成23年度:叢生なし:117名、叢生あり:98名

 

年度ごとの違いはありますが、
叢生の歯並びを持っている方の割合が、約40~47%という結果は、
割合としては高い印象を受けますね。

 

Q2. 空隙の有無

 

・平成11年度:空隙なし:435名、空隙あり:83名

・平成17年度:空隙なし:217名、空隙あり:29名

・平成23年度:空隙なし:183名、空隙あり:26名

 

一方の空隙に関しては、 約12~16%と、
それほど多くない印象を受けます。

 

 

経験的にも同様に感じますが、
日本人は叢生の歯並びを持っている方の割合が多い傾向があるようです。
状態や程度は個人差がありますが、
一つの傾向として参考になればと思います。